済州島に軍事基地はいらない!

九州の西、朝鮮半島(韓半島)の南西、チェジュ(済州)という島の南海岸にガンジョン(江汀)という村があります。450年以上の歴史をもつガンジョン村で、2007年5月18日から海軍基地反対運動が10年間続いています。ガンジョンの海軍基地問題はガンジョンやチェジュ島だけの問題ではなく韓国の軍事基地、沖縄・日本の米軍基地問題ともつながっています。

‘611名起訴’ 済州海軍基地、公権力乱用・人権侵害明かされるか

 原文は韓国語の新聞記事です。
http://www.jejusori.net/?mod=news&act=articleView&idxno=199273

 

‘611名起訴’ 済州海軍基地、公権力乱用・人権侵害明かされるか

新聞社:済州の声
作成者:キム・ジョンホ記者
日付:2018年1月15日

[焦点]真相調査委員会すでに構成、6月に実務調査団発足…‘10年間の葛藤’ 葛藤解決の一大転換点

青瓦台(韓国の大統領府)が権力機関改革案発表で、過去の積弊に関連した真相調査を開始する意向を明かしたことから、済州海軍基地の建設過程におけるガンジョン村への人権侵害の実態が表に出るか、関心が集まっている。

14日、青瓦台が権力機関改編の方向性を発表するなかで警察の優先調査の対象として言及した事件は、済州ガンジョン村と、農民ペク・ナムギ氏の死亡、ミリャン(密陽)の送電用鉄塔、ピョンテク(平沢)のサンヨン(双竜)自動車、ソウル市ヨンサン(竜山)区での火災事件である。

5大事件は警察改革委員会が真相調査を勧告し、警察庁が調査を検討している事案である。警察庁は後続措置として、2017年8月に「人権侵害事件真相調査委員会」をすでに発足させた。

調査委は警察の警備と捜査、情報収集の過程で公権力を誤って行使したり、人権を侵害したと疑われる事件などを調査して真相を明かし、再発防止策を勧告する役割を担うことになる。

独立性保障のため、委員9名のうち6名を民間委員で構成し、現在は、調査を担当する実務調査団の任用手続きを進めている。6月ごろ調査団がまとまれば、直ちに調査が行われる。

ガンジョン村は2017年10月、済州海軍基地の建設過程における公権力の乱用と人権侵害などの内容が盛り込まれた文書を作成し、調査委としての真相究明要求を陳情していたと知られている。

済州海軍基地建設事業は2007年4月26日、ガンジョン村会館において、ガンジョン村会の役員で当時この事業に賛成していた人物の主導で集まった87人が招致を決定したことから、悲劇が始まった。

第一段階からずれてしまったことでガンジョンは賛否に分かれ、極めて激しい葛藤をかもした。反対側の住民らが手続きにおける問題を主張して海軍基地建設反対を唱えたが、政府は公権力を投入して対向した。

同年12月、海軍基地工事現場の正門前において、住民と警察のあいだで物理的対峙が起こると、逮捕者の共犯を調べるとして20余名の通話内訳を無分別に照会することもあった。

工事を強行した海軍が2012年3月にグロンビ海岸を発破したことで、葛藤はその極に達した。同年の集会とデモの過程で連行された人数は、住民と平和活動家など、200名に達した。

政府はこのため、2011年から2年間、ギョンギ(京畿)地方警察庁所属の機動隊など、他地域の警察9300余名を投入した。済州に韓国本土の警察力が長期間、大規模で投入されたのは、前例のないことであった。

2012年4月には、ガンジョン漁港に集まった集会参加者らを解散させるとして、催涙液まで発射した。現場を訪れた国家人権委員会の調査官を警察が制止したことで、議論が起こることもあった。

2015年1月には、海軍が済州海軍基地の敷地外にある集落に海軍官舎を建設しようとしたことで、再び住民との摩擦が起こった。住民は見張り台とテントを設置して工事の中止を求めた。

済州で例をみない公権力の投入により、2007年以降の10年間、海軍基地問題で連行された人数は、重複件数を含めて696名に達する。うち611名が裁判にかけられた。被疑者として勾留され起訴された者だけでも30名になる。

このうち478名が確定判決を受けた。執行猶予以上の懲役刑を宣告された人数は177名になる。286人は罰金刑に処され、残り15名は無罪を宣告された。

宣告猶予と公訴棄却などを除く11名は、現在も裁判を受けている。すでに刑が確定した人物の罰金は、納付済みも含めて3億ウォンに達する。別途追加された判決を除いた金額である。

ガンジョン村は調査委の誠意ある調査を通して、公権力の過度な投入と人権侵害の真実が明かされるものと期待している。

大法院(韓国の最高裁判所)は、2007年4月に済州道庁前で警察がデモに参加していた人物を連行しようとしたことに反発し、警察官を押してバスの下に横たわったAさんの公務執行妨害の疑いに対し、無罪を宣告したことがある。

当時、警察は、警察の正当な業務を妨害したとして逮捕が適法であると主張したが、大法院は、身分証まで見せたAさんを逮捕したのは違法に該当するとし、公権力の乱用を認めた。

真相調査で公権力の乱用と人権侵害の実態が確認されれば、ガンジョン村住民に対する政府の赦免にも正当性が確保され、一定部分で名誉回復が可能になる。特に、求償権撤回に続いて、海軍基地問題の葛藤解決に一大転機が用意される見通しである。

海軍基地推進の過程についての真相調査は、ガンジョン村の住民が絶えず求めてきた事案である。

ガンジョン村海軍基地反対対策委員長のゴ・グォンイルさんは、「ガンジョン問題は今回の調査で終わるわけではない」とし、「人権弾圧の証拠が見つかれば、立地選定についての真相調査も要求する」と述べた。