済州島に軍事基地はいらない!

九州の西、朝鮮半島(韓半島)の南西、チェジュ(済州)という島の南海岸にガンジョン(江汀)という村があります。450年以上の歴史をもつガンジョン村で、2007年5月18日から海軍基地反対運動が10年間続いています。ガンジョンの海軍基地問題はガンジョンやチェジュ島だけの問題ではなく韓国の軍事基地、沖縄・日本の米軍基地問題ともつながっています。

生命平和百拝誓願(百拝:べくぺ)

きょうは2018年3月3日・土曜日、ガンジョン村海軍基地反対運動3943日目です。2007年5月18日から本格的に始まったこの運動は、10年9か月14日間続いており、今年(2018年)5月18日には12年目に入ります。

海軍基地反対運動が続いているガンジョン村では、月曜日から土曜日までの毎日朝7時から、済州海軍基地の正門前にて、「生命平和百拝誓願」という平和を思う100のメッセージに合わせて、お祈りしたり、ジョルをしたり、瞑想をしています。これを略して百拝(백배:べくぺ)といいます。(日曜日は原則として休止し、ソル(旧正月)とチュソク(秋夕:中秋節)の連休、大雨や台風襲来などの悪天候のときは休止することがあります)

お祈り、黙想とはいえ、キリスト教、仏教などの特定の宗派ものではありません。

小さいスピーカーから流れる、平和を思う100のメッセージを読み上げる声に耳を傾けたり黙想しながら、地べたに座って目をつぶって瞑想したり、ジョルと呼ばれる(土下座に似たような)御辞儀のしぐさをしたり、あるいは何も考えないでボッと座っていたり、海軍基地反対のプラカードを持って、基地に出勤する人々へアビールしたり、あるいは百拝の様子を近くで見守っていたりしても構いません。

以下の写真は活動家のJ(頭文字)さんが撮影したものです。

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海軍基地の前で、正門の向こ見える基地のなかに向かってジョルをします。

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海軍基地正門の前でプラカードをもってアピールしている人。プラカードには「済州海軍基地のせいで、連行700余名、起訴587件、拘束60名、罰金4億ウォン、求償金(損害賠償)34億5千万、海軍!あなたの月給は私たちの涙の値段!」と書いてあります。

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白いプラカードをもっている人の後ろ側に、白いヘルメットをかぶった海軍の憲兵が立っています。高く翻る黄色い旗には「軍事基地のないガンジョン村(군사기지 없는 강정마을)」と書いてあります。写真に見える2人の間には鉄門の軌道があり、ここから民間人の出入りは制限されます。

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前に立っている人のプラカード(右)には「軍艦をどけなさい、済州海軍基地閉鎖せよ、戦争訓練やめなさい、済州は外国軍隊の糞尿ゴミ処理場ではない、済州の軍事化中断、戦争反対、ひたすら」と書いてあります。 正門の横にある壁には右から左順に「海軍第93潜水艦戦隊」「海軍済州基地戦隊」「海軍第7機動戦団」の青い看板があります。

別の場所に多数保管されている座布団やシートを現場に持ち運び、その上に立ったり座ったりできます。

主に参加している人々は、ガンジョンに暮らしながら海軍基地反対運動に加わっている人々もいれば、韓国だけでなく世界中からカンジョンの話を聞いて村に来た訪問者もいます。百拝の参加は強制されることなく、もっぱら個人の意思で参加します。参加を事前に申し込む必要はありません。

100のメッセージは約35分にわたって読み上げられます。最初から最後まで参加する時間がない場合は、最初から参加して途中に離れたり、途中から最後まで参加するか、また途中に離れることもできます。

海軍基地正門前付近の地図を添付します。「軍事基地及び軍事施設保護法」により基地周辺の道路が地図に表示されなくなっています。ご了承ください。

済州海軍基地の正門は、添付の地図に表示されている交差点の南にあります。交差点の東西と南には往復4車線の車道があり、南の車道を沿って真っすぐ行くと、済州海軍基地の正門が見えます。基地の正門前と基地全域周辺には、撮影を禁ずる警告板が貼ってあります。写真の撮影には注意しましょう。

以下、100のメッセージの一部を翻訳して紹介します。この訳文は仮訳であり、公式のものではありません。

「真理が人生を自由にするという言葉を胸に刻み、一回目のジョルを捧げます」

「絶えない自己省察が問題解決の第一歩であると信じ、二回目のジョルを捧げます」

「所有は所有を生み、戦争はさらなる戦争を生むだけで、問題解決にはなれないという真理を胸に刻み、六回目のジョルを捧げます」

「世の中への私の役割が何なのかを知らずに生きる無知への恥をを胸に刻み、九回目のジョルを捧げます」

「隣人を自分のように愛するとき、真に自分を愛するようになるという真理を胸に刻み、十三回目のジョルを捧げます」

「真理の生活は、現実的に誰もが理解して実現できるようにすべしという言葉を胸に刻み、十五回目のジョルを捧げます」

「お金の奴隷ならない価値意識と生活の方式を確立するために、二十二回目のジョルを捧げます」

「利己的に生きてきた人生を懺悔する生命平和経の第3段落を吟味し、三十九回目のジョルを捧げます」

「生命の根本である自然をみだりに扱ってきた人間中心の利己的生活を懺悔し、四十回目のジョルを捧げます」

「我が国、我が宗教、我が家族中心の利己心で生きてきた歪んだ集団中心の生活を懺悔し、四十五回目ののジョルを捧げます」

「所有と力の論理、競争と支配の論理で生きてきた歪んだ自己愛の生活を懺悔し、四十六回目ののジョルを捧げます」

「自然を搾取する人間中心の利己的貪欲を捨てるため、五十四回目ののジョルを捧げます」

「いかなる名分でも心理的、物理的暴力を使用しないという第一の生命平和誓約を胸に刻み、六十七回目ののジョルを捧げます」

「すべての生命に犯した言語、肉体、性、心理、経済、社会的なすべての暴力を懺悔し、六十八回目ののジョルを捧げます」

「いつでもどこでも、すべての者に平和な心と態度で臨むことを誓い、七十回目のジョルを捧げます」

「すべての生命を友愛で包むという第二の生命平和誓約を胸に刻み、七十一回目のジョルを捧げます」

「差別や偏見なく、生命の尊厳性を尊重して保護することを胸に刻み、七十二回目のジョルを捧げます」

「いかなる名分の偏見や暴力も断固として拒否することを胸に刻み、七十四回目のジョルを捧げます」

「相手を理解し尊重して配慮するぶんだけ、自分の人生がより輝くという真理を胸に刻み、七十五回目のジョルを捧げます」

「見解が異なるという理由で相手を憎み、自分の見解だけが正しいとする考えが暴力の始まりであることを胸に刻み、七十六七目のジョルを捧げます」

「すべての人々の表現の自由と文化の多様性を擁護することを胸に刻み、八十回目のジョルを捧げます」

「平和は真実と愛の実践である非暴力的実践によって成し遂げられるという真理を胸に刻み、九十回目のジョルを捧げます」

「朝鮮半島(韓半島)の戦争を防止し、この地の平和のために非暴力実践で先駆けることを誓い、九十一回目の胸に刻み、ジョルを捧げます」

「人生を不幸にするいかなる権威、制度、慣習、暴力にも非暴力で抵抗することを誓い、九十二回目のジョルを捧げます」

「まず自分を浄化して治癒することが、世の中の平和を成し遂げる道であることを胸に刻み、九十六回目のジョルを捧げます」

「われら皆、生命平和の灯火となって互いを照らすことで、世界中が生命平和の世の中になることを発願し、九十九回目のジョルを捧げます」

「自分が灯した生命平和の灯火により、世界中のすべての生命が、真に平和で幸せであることを発願し、百回目のジョルを捧げます」